Nyuto Onsen in Aomori
青森県 田沢湖 乳頭温泉郷
2008 August
夏休みの旅行は涼しくて自然が豊かなところに限る。秋田県仙北市にある田沢湖駅に降りた瞬間、そう感じた。東京よりも空気がさらっとしていて涼しいのだ。
ちょうどお昼になったので駅近くの「ももや」で稲庭うどんを頂く。細くてつるつるしているけれど、コシがありさっぱりしていて美味しい。
お腹が満たされた後は田沢湖で遊覧船に乗った。田沢湖は423.4mもの深さをもつ日本最深の湖で、深緑と青のあいだのような不思議な色をしている。森に囲まれた湖岸には浮木神社・御座石神社の2つの神社があり、まるで神様に守られているような神聖な空気に包まれていた。
田沢湖からバスに乗り、乳頭温泉郷へ。秘湯と呼ばれる乳頭温泉郷は山奥にあり、日常とかけ離れた場所。テレビもなく、携帯も通じない。8つある温泉宿のうち、一日目は温泉郷のなかでも最古の温泉宿といわれる「鶴の湯」に宿泊。鶴の湯に足を踏み入れた瞬間、昔話の世界にタイムトリップ。
350年もの歴史をもつ鶴の湯は茅葺屋根の古建築をそのまま残し、日本の原風景を守っている。鶴の湯の名前の由来は、地元の猟師が傷ついた鶴が湯で傷を癒すのを見つけたという伝説から名づけられたのだそう。宿はいくつかの棟に別れていて、それが並び寄り添う形になっている。昔の山奥の村はこんなかんじだったのかなと想像する。
鶴の湯には白湯・黒湯・中の湯・滝の湯という4種類の泉質の異なる源泉がある。白湯はちょっとぬるめで優しい湯。露天風呂は広くて山が見渡せ、湯はどろっと濃くて熱い。中でも私が特に気に入ったのが黒湯。古い木造の小さな空間で濃厚な黒湯にゆっくりとつかる。正方形の小さな空間だから温泉に入ることに集中できるし、濃厚な湯は身体によく効く。湯の色はほとんどが乳白色で、掘らなくても自然に湧き出てくる。温泉の成分が強いらしく、体の芯まで温まってつるつるに。
夕食は新鮮な山の幸。山菜料理ときのこ、川魚の塩焼き、山芋だんご入りのみそ汁など気取らず素朴。だけど一品一品心がこもっていて、素材の味が生きていた。
真夜中の露天風呂で印象深かったのが、流れ星を見たこと。見上げれば満点の星空。まるで空の涙がぽろぽろとこぼれ落ちるように、次々と降る流れ星。星空はじっくりと見れば見るほど、遠くの星がうっすらと見えてくる。ぽこぽこと沸き出てくる乳白色の温泉につかりながら、ずっとそれを眺めた。まるで流れ星風呂に浸かっているよう。宇宙と自分が一体になったような不思議な体験だった。
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