Kusatsu Onsen, Shima Onsen
草津温泉、四万温泉
2009 August
お盆休みに旅した草津温泉と四万温泉。
多くの病を治すとして湯治が流行した江戸時代にはこぞって草津へ訪れたというだけあり、草津の湯はとても強い。硫黄泉の酸性度が強く、殺菌効果の高い温泉なのだそう。
一方、四万の病に効くところから云われるようになったという四万温泉は、刺激の少ない硫酸塩泉の柔らかな湯で「草津のあがり湯」と言われている。草津温泉での湯治の後、四万温泉に入って湯治効果を高める「仕上げ湯」は群馬の伝統なのだとか。今回はまさにそんな2つの温泉を巡る旅をしてきた。
草津温泉は観光地ではなく「湯に入る」という目的の宿が集まった村、というかんじの温泉街。中心には「湯畑」があり、何百年も前から変わらずボコボコと温泉が湧き出ている。周りの岩は変色して鮮やかな緑色をしていた。
湯畑の近くの「ゆ宿 大蔵」に宿泊。落ち着いた雰囲気の老舗の湯宿で、草津では数少ない白濁した温泉に入れる宿。濃厚なお湯にしっかりと浸かると、それまでの疲れが嘘みたいに心身ともに元気に。
夕方は湯畑の周りを散歩し、西の河原通りでは温泉まんじゅうを食べ歩き。湯畑近くの小屋では草津温泉の伝統「湯もみ」に挑戦。「湯もみ」とは、熱い温泉を木の板で混ぜることで人が入浴できる温泉にすること。やってみると難しかったけど、草津に合わせて木の板を動かすのは楽しかった。
翌日は「ゆ宿 大蔵」にも程近いカフェ・ギャラリー「地球屋」へ。古い建物を改装した隠れ家カフェで、庭でお茶とケーキを味わった。庭にはしっとりとしたシダ植物などが生い茂り、まるで植物園のよう。とても居心地のいい空間で、時間を忘れたほど。
草津から電車とバスを乗り継ぎ、四万温泉へ。草津温泉よりはこじんまりしていて昔ながらのお店も残り、風情ある佇まいを見せている。近くには薬師堂という小さな寺院が静かに佇み、唐様の珍しい建築様式を今に伝えていた。
四万温泉では「ひなたみ館」という宿に泊まった。すぐ傍に国立公園があり、建物の脇を渓流が流れていて、せせらぎが聴こえる。森と枝垂れる木が鬱蒼としていて、マイナスイオンたっぷりで気持ちが良い。部屋にいても川の流れる音が聴こえ、不思議と心の中がすっと洗い流される感覚になった。
夕食は野菜中心のお料理。まるで花のように開いた美しい焼きナスや大根にチーズをのせたグラタン、大根麺。鉄釜に鮎を入れて山椒の香りづけをして炊いたご飯は絶品だった。
四万の日向見清流沿いを歩いて下り、積善館へ。建っているだけで歴史を感じさせるこの建物は、日本に現存している最古の湯宿建築だそう。緑に覆われた独特の建築物で、映画『千と千尋の神かくし』にも登場したことで有名になったのだとか。小さな窓や低い階高から、昔の日本人の身体が小さかったことを感じ取る。
昭和5年築の大正ロマネスク様式の建物「元禄の湯」へ。アーチ窓から差し込む光が心地良い。5つの湯船はそれぞれお湯の温度が異なり、入って比べて楽しんだ。小さな扉を開けると蒸し風呂まである。源泉の蒸気を利用したものだそう。
温泉でさっぱり、つるつるになった後は、積善館であんみつを頂いた。入っているフルーツはメロンだけのシンプルなあんみつで、中に入っていたアイスクリームは昔懐かしい味がした。
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